(筆者注:去る、9月27日のニューヨークタイムズは、その「技術欄」で、最近、アメリカのアフィリエイト業界で問題になっている、他人のアフィリエイトコミッションを盗む、いわゆる「寄生虫ソフト」について報じている。その内容をお知らせする。原文からの翻訳なので、若干のぎこちなさをお許し頂きたい)
幾つかの、非常に人気のあるオンラインサービスが、アマゾンや、eToys といった大きなサイトによって小さなアフィリエイトサイトに支払われたセールスコミッションを、自分の方に転換するソフトウエアを使用している。
これを批判する人たちは、そのソフトウエアを ”parasite-ware”「寄生虫ウエア」或いは、”stealware”「窃盗ウエア」を呼んでいる。そのソフトは約20社ばかりによって作られ、数ダースの会社によって使われているが、それは完全にリーガルで、法律違反をしていないという。なぜならば、それを使っているユーザーは転換を同意しているからだという。
(筆者注:ダウンロードのソフトと使うときに、同意を求める、長たらしい文章がでますが、それを全文読んでから”同意”する人がいますか? 殆どの人が機械的に”同意”を与えるだけですね。ここで言う”同意”はその同意です)
業界で、それらに巻き込まれている額は、数十万ドル、数百万ドル以上に昇ると見られるが、それは引き続き、増え続けている。なぜならば、多くのユーザーは、自分のコンピュータでそのソフトウエアが作動していることを気づかないからである。
小さなホームページを運営している人たちにとっては、自分たちの売上を大きなマーチャントに垂れ流しているようなもので、多くの人たちが損害を被っているという。
著名なアフィリエイトマーケティングの評論家で、自身幾つかの著名なサイトを運営し、自分のビジターをアマゾンとか多くのマーチャントに送り込んでいる、ショーン・コリンズ氏は、”誰かが、私のサイトの周りに壁をめぐらせて、私の売上の権利を奪っていってしまうとは、立腹以外の何ものでもない”そして、”私は多分、ここ6ヶ月の間に収入の30%は、持って行かれただろう”といっている。
転換は、消費者が、音楽やオンライン上の一部のバーゲンソフト、その他のファイルをインターネット上から得たときに始まる。彼らがそのソフトをインストールするときに、アフィリエイトプログラムを通してのショッピングによって、そのソフトウエアのメーカーのサポートを受けるかどうかを尋ねられる。これらのプログラムは購入毎にあるパーセンテージがコミッションとしてアフィリエイトにバックされる、この場合バックされる相手は、ソフトウエアメーカーである。
消費者ははっきりと何もいわれないまま、同意したかどうかも明確にされずに、彼らのコンピュータは、電子的にマークされてしまう:すべての将来の購入は、あたかも、そのソフトウエアのメーカーのサイトを通して行ったようになるのである。
そのソフトウエアにはいろいろなバージョンがある。あるオンラインストアとアフィリエイト契約を結んでいて、ビジターがアフィリエイトのサイトを通じて入ってきても、そのソフトウエアメーカーのサイトを通じてきたようになるのである。これらのアフィリエイトサイトは、ほそぼそとしたビジネスをやっているサイトであり、寄金のためにアフィリエイトリンクを使用しているチャリティサイトである。このようなサイトからもコミッションを転換するのである。
転換ソフトのあるバージョンは、幾つかの非常にポピュラーなミュージックをビジネスとしているサイト、Morpheus( P2P ファイルをシェアするソフトウエア会社。同社からのダウンロードは現在一億を超えている), Kazaa(ダウンロード現在数550万)、LimeWireなどに使用されている。Napsterの崩壊によって、残った損害を穴埋めしようとして、これらのサイトは転換ソフトを使用しているのである。これらの会社は、そのソフトウエアは数百万のサーファーによって既にダウンロードされているといっている。
一体、巻き込まれている額が、いくらになるのか見積もるのは難しいが、このビジネス関係者は、莫大な額になるだろうとしている。アフィリエイトマーケットは、オンラインマーケットの総額720億ドルの約15から20%と見積もられると、フォレスターリサーチのアナリスト カリージョンソン氏は言っている。うまくいっているアフィリエイトサイトは月に6万ドルを稼ぐと、アフィリエイトマーケティングに特化したオンラインフォーラム、Abestwebを運営している、ハイコ・デ・ポール氏は言っている。彼は、Morpheus や他の転換ソフトを使っている連中と闘う為のサイトを組織したところである。
80万のアフィリエイトを持つ、アマゾンドットコムのスポークスマンは、ハイジャックからサイトを守っているといっている。”自分でショッピング活動をやらないで、ただ、ショッピング活動を自分に転換するダウンロードソフトややツールを使ってサイトを我々は許しません。既に多くのこのようなサイトを閉め出しました”。
先週、アマゾンドットコムは、そのようなソフトウエアを使用しているサイトの一つ、Morpheusへのアフィリエイト関連の支払いを停止した。また、著名な衣類関連のオンラインストアも、Morphesuへの支払いをブロックした。
転換ソフトを作り、使用しているある会社は、彼らは、確かにプログラムを書き換えていたが、もう、このようなことは止めにする、人から金を取るようなつもりはない、と言っている。しかし、彼らがいま方針を変えても、既に、数百万を越えるコンピュータにインストールされたソフトのコピーに影響が及ぶものではない。
”我々は、どのウエッブサイトの収入も盗もうなどというつもりはありません”と、LimeWireのチーフオフィサーは言っている。”我々は、これが新しい、奇妙な分野であることは知っています。しかし、新しいことをすることには興味があります”彼は、アフィリエイトプログラムで収入を得るために使っている、ソフトウエアのメーカー、TopMoxieを引用しながら言っている。
TopMoxieの副社長、Patrick Toland は、自分のところのソフトウエアが他のアフィリエイトの権利を置き換えようなどと言うつもりはまったくなく、過去2週間の間に、他のサイトのアフィリエイトコード番号を自分のアフィリエイトIDコードに置き換えることを停止したと言っている。「我々は、これはどうも問題だと認識した瞬間に、方針を変え、これから逃げ出しました。これに関係した額はほんの僅かなものです」と加えている。
一番問題を大きくしている、Monpheusは、この件は、そのショッピングのリベートプログラムを動かしている WurldMediaへ照会してくれと言っている。一方、Wurld Media のチーフテクニカルオフィサーは、盗むなどと言う非難は当たらず、それを証するために、法廷に出ても良いと言っている。
彼は、ソフトウエアの初期のバージョンは、他のアフィリエイトサイトからコミッションを転換していたが、新しいバージョンはその問題に、きちんと対処するようになっている、といっている。今は、同社によると、ソフトは各購入の前に消費者はアフィリエイトにコミッションを支払うか、自分自身のリベートとして扱うか選択出来るようになっているという。
転換が、全く予期しないソフトの欠陥の為であるとする論があるが、この論議は、インターネットセキュリティーを扱う会社、PolarCoveのチーフテクニカルオフィサー、エリックピーターソンを説得するには至っていない。ピーターソンは、TopMoxieとLimeWireに関してのクレームを受け取って、そのソフトウエアを詳細に分析したところ、TopMoxieのプログラムはそのアフィリエイトIDコードは、他のサイトのアフィリエイトIDコードと入れ替わるように、非常に複雑に設計されていたという。彼は、もし、ユーザーが、オリジナルのLimeWireのミュージックシェアソフトを取り除いたとしても、コンピュータにはそのプログラムが残るという。”私は彼らのどんな説明も受け入れられません。彼らがやっていることが、どんな問題を引き起こしているのか、彼らには分かっているのでしょうか?”と彼は言っている。
また、ピーターソン氏はオンラインフォーラムで行われたこれに関する技術問題の討議において、ステートメントに次のように指摘している。「LimeWireのプログラム開発者が、ソフトウエアが転換するお金は”非常に的確なものある”と言って、非難を片づけようとしているが、私は、これは ”まったくの一種の詐欺である”ということに同意する。ある人々にとっては、アフィリエイトからの収入は、ひとつのサラリーのようなものであり、こういうことで、インターネットユーザーに不利に影響してはならない」と言っている。
転換ソフトウエアを作っている会社は、非難に対して、消費者は、オンラインソフトをダウンロードするときに、注意深く読もうが、ラフに読もうが、いずれにせよ、契約条件を読んで、それに同意しているのである、と言っている。これに対し、消費者保護の専門家である弁護士は、「ソフトをダウンロードすると、どのようになるか、それを説明する、それらしき表現があるが、明確でない」としている。
この問題は、主として、インハウスのアフィリエイトプログラムを使う会社に発生していたが、アフィリエイトプログラムを提供している、アフィリエイト・サービス・プロバイダーにとってはどうなのだろう。
コミッションジャンクションの社長、Jeff Pullenは、もし、顧客が転換ソフトに同意したならばコミッションを転換するソフトを使っている会社を閉め出すことに、嘗ては、必ずしもこだわらなかったと言っていた。”彼らが使っている戦術は多分、新しい技術に対する挑戦的なものなのかもしれない”そして、”もし、それが法律を犯すようなものでないとしても、一般の人々にサービスを提供する立場上、私のネットワークから出ていって貰う理由がある”と言っている。
リンクシェアの社長、Steve Messer は、「転換プログラムは、昨年、アフィリエイトマーケティングに関係する人々の生活を難しくする面があった」として、次のように言っている。「そのような問題が起こるのは、アフィリエイトプログラムが成熟期に入ったことを示している。リンクシェアのアフィリエイトネットワークを通して行う転換取引が、大きくなったならば、アフィリエイトは憤慨するし、大きなマーチャントは反応を示すだろうが、それが、僅か数ドルであったならば、誰も気づかないし、問題にするまでもない」
リンクシェアは、オンライン広告の倫理的な実際面を統御するために、業界スタンダードを作ろうと他の会社と作業中である。Steve Messer氏は、「ある人々にとって、WWW は、”Wild, Wild West”(荒れ果てた荒野の西部)を意味している。望むべくは、さっさと終わって貰いたい問題である」と、言っている。
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