◆オートポイエシスをドロップシッピングに--:
また、皆さんのアタマを悩ますような横文字が今後の日本の流通業界を虎視眈々とねらっている。
「オートポイエシス マーケットシステム」である。
筆者は7~8年前、「アフィリエイトプログラム」という横文字に出会って、舌をかみそうなこの横文字をどうやって日本に広めようか、いや、これはダメだ、広まるわけがない、と悩んだ記憶がまだ新しい。
オートポイエシス (autopoiesis)---。
幸い、ウイキペディアに記載があるので、要点を紹介すると次のようになる。
オートポイエーシス (autopoiesis) は、1970年代初頭、チリの生物学者ウンベルト・マトゥラーナとフランシスコ・バレーラにより、「生命の有機構成 (organization) とは何か」という本質的問いを見定めるものとして提唱された生命システムの本質に迫ろうとする概念である
・・・そのシステム論的斬新さから、システム論、情報学、心理療法、経営管理など、生物学以外の分野において広く引用されるところとなっている。
永井氏のサイトから一部引用させて頂くが、後半の「情報を複製せよ」の項が特に印象に残り、何を為すべきかが伝わるのではないだろうか。
オートポイエーシスの一番わかりやすい例は、生物の生殖である。生殖において、遺伝子は遺伝子を自己複製する。遺伝子は、たんぱく質の作り方を指令する情報であるが、そうした情報全体を複製する情報をも部分として含んでいる。この「情報の複製」と「複製の情報」の間にあるループ型のオートポイエーシスにより、1.情報Gを複製せよ
2.「情報Gを複製せよ」という情報を複製せよ
3.「「情報Gを複製せよ」という情報を複製せよ」という情報を複製せよという無限の自己複製が可能になる。
◆日経ビジネス最新号に紹介されたドロップシッピング。
日本に於ける代表的ビジネス週刊誌のひとつ、「日経ビジネス・5月28日号」に、「ネットのあした 流通の独自モデル、粗利益4割、通販の新顔」という目次紹介で記事が載った。
ページを開けると、上記題目の下に「発送業務も不要な”ドロップシッピング”の波」とある。3ページではあるが、ドロップシッピングの紹介記事である。日本経済新聞は、本紙の方で度々ドロップシッピングを報じているが、新聞だけに要点をまとめて要領よく報じており、細部までは筆が及んでいない。
今回の「日経ビジネス」は、収益力抜群(利益率40%)の「職人.com」の紹介に始まり、アフィリエイトとドロップシッピングの比較、そして通常のネット通販との比較を要領よくまとめ、更には、もしものドロップシッピング大学を紹介している。
最後の締めくくりとして、4月に新しく出発した業界団体「日本ドロップシッピング協会」の役割と目的などに触れて、記事を終わっている。
今回、「日経ビジネス」で大きく紹介されている企業は、みな、「日本ドロップシッピング協会」のメンバー企業であり、協会そのものも紹介されているのだが、私がここで筆をとったのは、この記事に関することではない。
記事自体は非常に参考になるので、ドロップシッピングやアフィリエイトに関係ある方、特に、イーコマースに関心がある方にはぜひ読んでいただきたいのだが、ここではドロップシッピングが、日本を代表する経済メディアに続々と紹介されていると言うことを言いたかったのである。その一例として、最も卑近な例として日経ビジネスのことを紹介した。
日本経済新聞本紙でも、ここひと月ばかりの間に次の掲載があった。
・4月10日に「トラブル防止へ新団体」として日本ドロップシッピング協会の設立を3段抜きで報じ、
・5月15日には、ネット通販がアスリート支援/スポーツ振興事業のブルータグがスポーツ用品通販サイトを運営/リアルコミュニケーションズが通販サイト(ドロップシッピングサイト)の代金決済と物流を支援の記事が記載。
・5月16日には夕刊のフォーカスという紹介欄で「ネット通販・個人の販売後押し」として、協会代表の紹介を行っている。しかし、中身は代表紹介ではなく、ドロップシッピングの紹介記事になっている。
このようにドロップシッピングは、少しづつであるが、人々の間に浸透しつつある--と、思っている。
◆マスコミの紹介と実情について。
ドロップシッピング業界を代弁しなければならない立場の人間として言えば、この業界はまさに黎明期にある。2006年の始めに、一部メディアに「アフィリエイトより稼げるネットビジネスがある」ということで紹介されて、炎が燃え上がった。土台がしっかりする前に噂で先行し、しかし、そのおかげで土台が急速に固まりつつある。
このあたり、アフィリエイトプログラムに大いに感謝しなければならない。このビジネスモデルが成功し、普通の人がネット上で小遣いを稼ぎ、副収入を得、中には月に数百万円を稼ぐという人達が出て、ネット上で一般の人達がお金を得るモデルが定着していった。
アフィリエイトプログラムはいま、個人がカネを稼ぐビジネスモデルの基準値になろうとしている。あのプログラムはアフィリエイトより稼げるよ。あれは、アフィリエイトほどじゃないよ、といった具合である。
ドロップシッピングは、まさに、「アフィリエイトよりカネを稼げるよ」というふれ込みでメディアが先導した。この業界がまともに動き出して、まだ、1年になっていない。いま、この短期間の動きを例に挙げて数字の話をするのは非常に早いのだが、当然のことだがスーパーアフィリエイターが稼ぎ出すほどの数字を得ている人達はまだいないようである。
アフィリエイトプログラムで稼ぐ人達が現れたのは、やはり、このプログラムが日本に紹介されて2年、3年と経ってからである。その視点でドロップシッピングをみる必要があり、早計な結論は出すべきではないだろう。
しかし、中には、実際に稼げるのか、と疑問符を呈する人まで現れてきているという。ここにきて、ドロップシッピングは、そのよってたつ立場を明確にし、ビジネスモデル、言葉を換えれば、収入を得られるモデルを確立する必要にせまられているのである。
◆ドロップシッピングは「サービス」や「テクニック」の範囲に留まるのか。
アフィリエイトプログラムは立派なビジネスモデルのひとつとして、インターネットの個々の利用者に収入の道を開き、世界的に定着し、その運用企業(ASP)が、数百億円で売買されるまでに成長してきた。
一方、ドロップシッピングは、収入を得る手段として、個々の人達にチャンスを与えているのは確かだが、かといって、今のところ、まったく新しいビジネスモデルとして評価されているわけではない。ドロップシッピング--サプライヤーからコンシューマーに直接送られるという意味だけだとすれば、昔から行われていた流通経路のひとつに過ぎない。
良く言われることだが、イーコマースのサービスのひとつとして、或いはネットショップの「販売テクニック」のひとつとして、評価されているに過ぎない。
◆ドロップシッピングの循環型システム化
述べてきたように、「サービス」「販売テクニック」として捉えられているドロップシッピングを「循環型のシステム」として捉えようとする実験が始まっている。
単なる「サービス」「販売テクニック」では、結局は小手先のアイディアでしかなく、ビジネスモデルとして捉えられることは無いだろうから、やがては、その他多くの「サービス」「販売テクニック」の範疇に埋没していってしまう。
ドロップシッピングの一連の動き、そのひとつひとつに命を吹き込んで、相互の動きをシステム化し、ひとつの動き(取引)毎に付加価値が与えられ、最終的に消費者が商品を評価する。この評価は生産者にフィードバックされて、更に新しい価値を生み出していく。
この循環型構造を、冒頭に挙げた、「オートポイエーシス(Autopoiesis)」という生物学の理論によって説明し、この理論を今後のドロップシッピングのマーケティング戦略に応用しようという試みがスタートした。
詳細は次回に述べる。
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