◆45社のマーチャント、それとほぼ同数のアフィリエイト企業が参加
11月14日、リンクシェアジャパンの運営母体、三井物産本社の12階の大会議室は補助椅子を出すほどの参会者でうまった。リンクシェアジャパンの第一回シンポジュームに集まったマーチャントとアフィリエイトの人たちである。主催者の話によるとマーチャント約45社、それとほぼ同数のアフィリエイト企業の関係者が参加したという。
リンクシェアジャパンのプロジェクトマネージャー花崎氏は、今回のシンポジュームの意義を「ネット上で面識のないマーチャントとアフィリエイトが気軽に話し合う、オフ会ととらえていただいて結構」と挨拶されたが、第一部の2時間のシンポジューム、それに引き続いて行われた午後6時から8時までの第二部の懇親会と、計4時間の集会は、筆者の知る限り日本で初めての本格的なアフィリエイトとマーチャントの出会いではないかと思う。
アメリカではこのような集会がよく行われる。プログラムを遂行していく上での大事なイベントである。リンクシェアUSAをはじめ、各ASPも行っており、大がかりなところでは、アフィリエイトプログラムの専門ポータルサイト AffiliateForce.com が毎年行う、The Internet Affiliate Marketing Summit が有名である。フロリダとバハマ諸島で行われる3泊4日の、大きな客船を占有しての「船上アフィリエイトマーケティング・サミット」である。2002年度は3月15日から18日まで行われる。
◆アフィリエイトプログラムにおける「20/80のルール」について
リンクシェアの第一回シンポジュームは前記、花崎氏の「理想的なアフィリエイトのポートフォリオとは?」と題するスピーチで始まった。ポイントはアフィリエイトプログラムで良く云われる「20/80のルール」についてである。
20%のトップアフィリエイトが、マーチャントの売り上げの80%を稼ぎ出すという、古典的ともいえるルールである。このルールをそのまま適用しようとすれば、残り80%のアフィリエイトに対しては、手間もかかるし、適当にあしらえば良いということになるが、決してそうではない、この80%のアフィリエイトの活用こそが、全体の利益率を底上げし、アフィリエイトプログラムそのものを成功させる大事なポイントである、と言うような主旨である。
この花崎氏の論点については多くのマーチャントに非常に参考になるので、項を改めて紹介させて頂きたいと思う。
◆アフィリエイト・インフォメーションページについて
次に花崎氏は、「自己サイトでのアフィリエイト募集」に言及された。
これは、筆者が毎回、毎回口を酸っぱくして云っている、「アフィリエイト・インフォメーションページ」を作りなさいということである。
とにかく日本のマーチャントはアフィリエイトプログラムに参加しながら、自己サイトでそれを宣伝しようとしない。これはアフィリエイトプログラムに対する認識と理解不足から、成績が思わしくなければ何時撤退しても良いように、よけいなサイトをもうけないという、最初から腰が引けた対応をしているためではないのだろうか? そうでなければ理由をお伺いしたいところである。
これに対するASPの営業サイドも、ご無理ごもっともで、顧客が欲しいからあまり無理強いはしない。こうして、費用と時間をかけながら中途半端なマーケティングがスタートする。アフィリエイトマーケティングは、アフィリエイトあってこそのマーケティングであることを百も承知していながら、そのアフィリエイト募集をASPに任せっぱなしにしてしまう。
多くのマーチャントのサイトを訪れるビジターの数は、ASPのサイトにアクセスするビジターよりはるかに多いに違いない。また、マーチャントのサイト、商品に関心をもっている人々がアクセスしてくるわけだから、マーチャント自身、これらビジターに呼びかけない手はないと思うのだが、日本のマーチャントはこれを積極的にやろうとしない。ASPの保持するアフィリエイトだけが頼りというのでは、何ともなさけないマーケティング活動である。
花崎氏は、アメリカのリンクシェアの例を引かれて、自己サイトでのアフィリエイト募集が非常に有効である旨を説かれた。リンクシェアUSAの経験によると、リンクシェア(ASP)のサイトからのアフィリエイト募集と, マーチャント自身のサイトからのアフィリエイト募集の比率は、40/60 だそうである。マーチャント自身のサイトからアフィリエイトプログラムに参加してくる人の方が50%も多いのである。
この 40/60 の実例は貴重で説得力がある。6年近くもアフィリエイトプログラムをやっているリンクシェアUSAの実体験からきた話だから、先の「20/80」のルールに続いて「40/60」のルールと云えるかもしれない。筆者も今後この”ルール”を引用させて頂こうと思う。
◆大物企業が並ぶアフィリエイトサイト
各ASPが運営しているアフィリエイトプログラムにおいて、それに参加しているマーチャントについては、ASPのサイトから容易に知ることができる。しかし、どのようなアフィリエイトがいるかについてはほとんど知ることができない。
このたびのシンポジュームは、マーチャントとアフィリエイトのお見合いの場所でもあったので、リンクシェアに参加しているアフィリエイト名が一部公表された。第一回目の集まりでもあり、リンクシェア自身、発足してまだ6ヶ月なので、いわゆるトップアフィリエイトというのではないが、誰でも知っているような大物企業がアフィリエイトとして参加された。
ここでは、公表を差し控えるが、マーチャントにとってはかなり説得力のあるアフィリエイトサイトの方々が来られたということを報告しておこう。
◆参加ECサイト(マーチャント)の事例紹介
ついで、マーチャントの自己サイトの事例紹介があった。イイハナ・ドットコムとブープル・ドットコムが行った。イイハナ(e87)ドットコムはオンラインショップのみで、一般の店舗を持たない。そして、わずか1年でオンラインフラワーショップのトップ3にまで上り詰めた苦労を語られた。
マーケティングのトップチョイスとしてアフィリエイトプログラムを展開した結果、現在、全体の売り上げの15%がアフィリエイトサイトからだという。
このような成功企業の事例研究を聞くのは今後の展開を目指しているマーチャントには非常に参考になるのではないか。
ブープルドットコム (boople.com) については、チャンスメーカーネットの「注目のアフィリエイトプログラムレポート」で紹介しているのでそちらをご覧頂きたい。
これら事例研究されたサイトはそれぞれに非常に優れたサイトなので、改めて紹介させて頂きたいと思う。
このほか、最近プログラムに参加した、ホテルオークラ、三越などを始め、中古車購入サイトのガリバーインターナショナル、キリンビール、JALの運営するジャルックス、小学館、ソフトバンクパブリッシィング、松下ネットワークマーケティングなどが今後のアフィリエイトプログラムへの期待を語った。
◆ビュッフェ形式の懇親会と「米吾のお寿し」
第二部は場所を移して地下1階のカフェテリアで行われた。さすが、天下の三井物産で、このような行事には手慣れている。洋食、中華、お寿司、鍋物と品数豊富に並ぶテーブルの周りで、リンクシェアの担当者の方々がマーチャントとアフィリエイトのお見合いの仲介に飛び回っておられた。
出された料理に対して品定めをするのではないが、会半ばにして、鳥取の「米吾のお寿し」(こめごのお寿し)が紹介されたが、これはその主旨も良く、何と云ってもおいしかったので紹介させて頂く。
鳥取県米子市にある「米吾」の「吾左衛門寿し」は、300年以上を有する江戸時代からのお寿しだという。もともとは回船問屋米屋吾左衛門により船子たちの弁当として考え出されたのだそうだ。
氷温熟成という先端の技術を使って食品の鮮度を保ち、「作りたて」の寿しを日本全国に届けている。この「米吾」が、そのマーケティングの一環としてリンクシェアのアフィリエイトプログラムに参加することになり、カタログだけでは分からないだろうと、味見のため、お寿しそのものを会場で出されたのである。
幸運にも、そのお寿しの出されたテーブルの近くにいたため(本当は人をかき分けてすり寄った・・)、出された、さば、かに、ますの各お寿しを口にすることができた。肉が厚く、しっとりとしていて、確かに美味だった。今後、アフィリエイトプログラムを通じて更に飛躍を遂げられるのだという。東京では三越本店を始め、有名デパートの一部で扱っているという。
シンポジュームも有益だったが、締めくくりが印象的だったので敢えて言及させて頂いた。なお、この米吾のパンフレットだけを持ち帰り、寿司キチガイの同居人と一悶着あったことはあえて報告するまでもありません。
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