はじめに
日本のアフィリエイト・マーケティングはまだ未成熟だと、言い続けてきているが、その理由の一つに、アフィリエイト・マネージャーの存在が確立されていないことがある。
「アフィリエイト・マネージャー」という言葉は別にどうでも良いが、要は、広告主が行うアフィリエイト・マーケティングをきちんとマネージする存在である。
アフィリエイト・マネージャーについての解説は、別項目、「アフィリエイト・プログラム成功の秘訣」の中の「アフィリエイト・プログラムの導入・第6章アフィリエイト・マネージャーの資格」にあるが、そこから具体像を引用してくると、次のようになる。
ITベンチャーの先導役は皆さん若い!
6月末の、梅雨明けも近い蒸し暑い日、やってきたのが渋谷近くの三軒茶屋というところにある、(株)ビズシークさんのオフィスである。私事で恐縮だが、三軒茶屋は、筆者が、中学・高校時代、世田谷の松原と言うところから、渋谷へ出る道すがら毎日のように、小さな路面電車で通過していたところである。懐かしさよりもその変貌ぶりに改めて驚いた。
さて、ビズシーク社は古本を始めとする多くの中古品の仲介でここのところ成長を続け、特に同社の中心サイト「EasySeek」は、登録者数15万人に達している。
アルバイトを含め、15人ほどの社員が働いているが、取材に応じて頂いたのは、取締役 COO (最高執行責任者) の肩書きを持つ、大月延亮さんである。
ITベンチャーはどこもそうだが、とにかく実務の先頭に立つ人々が若い。中古の中でも、そろそろ「最古品」の仲間に入りそうな筆者など、このようなオフィスに出入りすること自体、面はゆくなる。
ところが、そのような面はゆさなど吹き飛ばしてくれたのが、大月さんの第一声である。
(大月延亮さん)
Yahoo!へのバナー広告ほとんど効果無し。600万円が水のアワ。その不成果がアフィリエイト・マーケティング採用の第一歩。
月並みな、「アフィリエイト・プログラムを始められた動機」についてこのインタビューを開始したが、開始早々、筆者をわくわくさせるような答えが返ってきた。
「実は、昨年11月と12月に、Yahoo! に広告を出しました。クリスマス商戦に向けてのものだったのですが、・・・殆ど実効無しでした。バナー広告の効果が失われていることを実感しました」
「失礼ですが、その費用は?」と筆者。
「ひと月、300万円です。ふた月で600万円」
なんと、600万円が水のアワ・・・・。
筆者は自分のセミナーで、バナー広告の実効が失われており、クリックスルーレートが0.5%を切っている、即ち、バナー広告をクリックする率が1000人のうち、僅か5人以下だというようなことをしゃべっていたが、大月さんの話は正にこの話を裏付けてくれたのである。それもYahoo!にして、この有様である。
「うちのような規模の会社では、このくらいのバナー広告が精一杯ですが、やるのだったら、億単位の金をかけ、メディアミックス、即ち、ネットに加えて、TV、新聞、雑誌を含めたすべてのメディアに対してやらないとダメだと思いました。中途半端な広告は効果ありません。」
その実例として、最近伸びているある無料プロバイダーの話をされたが、確かに、この企業は、業界誌は勿論のこと、TVにも派手な広告をぶつけている。しかし、このような億単位の広告費を出せる会社など、新興ベンチャーにそうそうあるわけがない。
そんなところに、今年のある新年会の席でA8ネットの責任者に出会い、アフィリエイト・プログラムへの誘いを受けたのだという。
大月さんは、アフィリエイト・プログラムについては、以前から関心をお持ちで、それなりに勉強されていたご様子。A8ネットとの出会いは、その引き金を引くことになったわけだが、Yahoo! の問題もあり、引き金を引くのにあまりためらいは無かったようである。こうして、2001年2月アフィリエイト・プログラムに参加されたのである。
■「広告主からみたアフィリエイト・プログラムの魅力」
アフィリエイト・プログラムは、高いモチベーションを持って仕事を代行してくれる「自分の分身」を効率的に作りだしてくれる。
■アフィリエイトが機能する理由
・サイトを持っていれば、誰でもAS会員(アフィリエイト、販売パートナーのこと)になれるので、裾野が広い。即ち、リーチが広い。
・AS会員のサイトの多くは、デスティネーションサイトであり、ユーザーは目的を持って訪れている。コンテンツがマッチすれば宣伝効果 が高い。
・モチベーションの高いAS会員は、独自の工夫で成果をあげる努力をしている。
■結果として
広告主(ECサイト)のやりたいことを多くのアフィリエイト・サイトが代わりにやってくれるので、少ないインプットでより大きなアウトプットを生み出すことが出来る。
「懸賞サイト」への参加が非常に効果 あり。トップ10のアフィリエイトのクリック数が全体の66%!
ここで、EasySeekのアフィリエイト・プログラムのコミッション支払いの対象となっているプログラムを紹介しておこう。
プログラム1:会員募集
EasySeek無料会員の紹介一名ごとに200円の成果報酬を支払う。
プログラム2:CD福袋販売
EasySeekのヒット商品「中古CD100枚福袋(7980円)」を販売すると、一件について、600円の成果
報酬を支払う。(ちなみに、福袋の中身は新品の場合、30万円に相当するそうである!:筆者注)
プログラム3:宅本便/CD・DVD買い取り
買い取り申し込みの紹介ごとに成果報酬を支払う。報酬金額はその都度相談の上決める。
以上、三つのプログラムを行っているわけだが、EasySeekでは、「懸賞サイト」を殆ど一年中出しており、大きな集客の要素になっているという。
アフィリエイトの中には、「懸賞サイト」を集中的に扱っているサイトが多く、EasySeekも、このようなアフィリエイトに好感をもって迎えられており、非常によいところにバナーやテキストを貼って貰っているので、効果が上がっている、と大月さんは云う。
「これら”懸賞サイト”を中心にしたトップ10のアフィリエイトが全体のクリック数の66%を占めています。"懸賞”というイベントは人を集めるにはとにかく有効に働きます。今後も続けて行きます」
EasySeekは、7月1日より、「どこでもキャンペーン」を開始した。これはモバイル版サービス「どこでもシーク」の開始を記念して始めたもので、なんと、今話題の小型車「スマートカプリオ」や海外旅行がプレゼントされる大型キャンペーンである。
トップのアフィリエイトには、個別メールで対応
アフィリエイトに対しては、メールによる連絡を行っており、特にトップ10に入るようなアフィリエイトに対しては、個別の対応をしているとのこと。大月さんは業務の最高執行者という、多忙な体にもかかわらす、アフィリエイト・プログラムについては自ら目を光らせている。
アメリカではアフィリエイト・マネージャーの職責は非常に高く、マーケティングとセールスの両部門の責任を負っている場合が多いが、大月さんの場合は正にそれである。もっとも、大月さんによると、人手が足りないので、一人何役もやらなければならないのです、とのこと。
タイムリーなメール配信にアフィリエイトは確実に反応を示す
「メールによるコミュニケーションの効果を実感しています。タイムリーなメール配信に対して、アフィリエイトは確実に反応しています」 と、大月さんは次の実例を挙げられた。
EasySeekでは、上記したようなプレゼントキャンペーンを継続的にやっているわけだが、キャンペーン開始に当たり、
●アフィリエイトに対して、メールでキャンペーンの開始を告知する
●そうすると、告知と殆ど同時に、クリック数があがり、
●キャンペーン用の素材(バナーやテキストなど)を追加すると、
●上昇率は急カーブを描いて上がっていく、
ということである。
そして、期間が長いと、当然のことだが中だるみが起る。そこで、キャンペーン終了が近づくともう一度、メールで「間もなく終りますよ」という告知を行う。そうすると再度カーブは急上昇する。
ウエッブサイトとメールの併用は、最上の結果をもたらすと、常に云われていることだが、EasySeek では、それを実行し、確実に成果を得ているようである。
アフィリエイトへの支払額はまだそれほど多くない、今後に期待。
アフィリエイト・プログラムに参加されて、まだ4ヶ月。目に見える大きな効果を得るには、通常6ヶ月は必要と云われているが、EasySeekは、既にそれなりの成果をあげているようである。ただ、アフィリエイトに対する支払いはそれほど大きなものは発生していないという。
「まだ、アフィリエイトに対する支払いは声を大にするほどのものはありません。しかし、広告主の立場から云わして頂くと、個々の支払いはそれほど大きくなくとも、いろいろなウエッブサイトが、向こうから、幅広くバナーや、テキストを配置してくれているので、そのブランディング効果は非常に大きなものがあります。とにかく、ページビューが大幅に伸びています。」
アフィリエイト・マーケティングの優れているところは、参加初期において売上がそれほど上がらなくても、ほとんど無料でブランドを広めてもらうところにある。いわゆるブランディング効果である。
冒頭に述べたように、EasySeek は、Yahoo! へ広告を出して実効を得られなかった。ブランディング効果は、多少はあったろうが、その代償は600万円である。アフィリエイト・プログラムでは、それが、無料に近い形で出来るのである。この手法が今後のマーケティング戦略の中で、主流を成すであろうといわれるゆえんも良くわかる。
アクセスレイティングのカテゴリー別視聴率で4位を獲得!
アフィリエイト・プログラム参加が躍進を後押し!
「おかげさまで、当社の実績は上昇機運にあります。最近の、ジャパン・アクセスレイティングのカテゴリー別視聴率で、ショッピング部門全体の中で4位になりました。・・・1位は楽天です。その差は大きいですけど・・・・。4位になったのには、明らかにアフィリエイト・プログラムへの参加があります」
(スタッフの方々)
大月さんのお話を聞くと、アフィリエイト・プログラム業界に身を置く者として非常に勇気づけられることが多い。いろいろな統計も取っておられるので、今後是非参考にさせて頂こうと思う。
最後に、EasySeek の今後について伺った。
「消費者主導型のサイトとして、まさに主導的な役割を果たして行きたいと思います。それは、ものの買い方を改革していくと云うことです」
大月さんの答えは明快であった。
使用済みフンドシのコレクション
インタビューを終るにあたり、野次馬根性から、何か珍しいモノの売買についてお尋ねした。しばらく、考えられていたが、「金額的には、8000万円のツボというのがありました。売買は成立しませんでしたが。そう、珍しいと云えば、競泳用のフンドシをコレクションとして探しておられる方がいました」
使用済みのフンドシを集めるとは、奇特なお方だが、とにかく、このような使い方ができるのが、EasySeek である。
読者の方々も是非、変わった関わり方で、EasySeek に参加されてみては如何。歓迎されるはずである。
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